~地域と企業が共に成長するワーケーションの可能性~
リコー(東京)から9名の社員が、仕事を兼ねて旅先で過ごす「ワーケーション」を利用し、10月7日から11日まで北海道富良野市を訪問しました。この滞在期間中、社員らは3班に分かれて「富良野通運」、「藤林商店」、および「すまいるふらの」の3社を訪れ、それぞれの事業所が抱える課題についてヒアリングと現場体験を行いました。最終日の11日には、富良野市の複合庁舎で市内の関係者約10名を前に、課題解決に向けたアイディアを発表しました。
「ファックスの紙文書を電子化することで、情報検索の効率が上がり便利になる」「業務の効率化には、マニュアルの整備が必要」などの具体的な改善提案がなされ、富良野市内の企業とリコー社員との知見共有が深まりました。また、仕事の合間には食事会を通じて意見交換と交流を重ねることで、地域と企業が連携して課題共有・解決に取り組む契機となりました。
企業インタビュー:ワーケーション参加による気づきと期待
富良野通運
「地方における物流業界の未来を見据えて」

富良野運通は、2024年の物流業界の課題とされる「2024年問題」に向けて、生産性の向上というテーマに取り組んでいます。 代表取締役/博士(商学) 永吉大介さんは「地方の運送会社には人材不足が深刻で、日々の業務の中で課題を課題と捉えられていないケースが多い」と指摘。リコー社員に対して課題の優先順位や潜在的な問題の洗い出しを依頼し、多くの示唆に富むコメントをもらったことに感謝を述べました。

また、地方の発展には知的な刺激が不可欠であり、今回のようなワーケーションが地域課題解決の一助となることを期待しています。「私自身、2022年にドクター号を取得し、地方からの物流改革を目指していますが、データ収集とフィールドワークが重要です。リコーの皆さんの研修としても、今回のワーケーションが役立つものだったと信じています」と話し、他の企業や自治体にもこうしたワーケーションの機会を広げたいと意欲を見せました。

藤林商店
「課題共有・解決型ワーケーションで得られた種」

宮城から北海道に移住し、青果店『藤林商店』を事業継承した工藤さん夫妻が今回のワーケーションを受け入れました。奥様の工藤奈奈さんは、ワーケーションを通じて『個人や企業にとって長期的なメリットにつながる多くの気づきが得られた』と語ります。企業側にとっては、ワーケーションにコストをかけるメリットを疑問視する声もありますが、「課題共有・解決型のワーケーションは、即効性がなくても、経験や知識が後々芽を出し、個人や企業にとって大きな財産となる」との実感を述べました。

ワーケーション参加者に対しては、「まず現地に足を運び、チャレンジすることが大切。機会があれば逃さず挑戦してほしい」とエールを送り、交流を深めることで新たな発見が生まれると期待しています。

すまいるふらの
「短期的な課題解決で生まれる長期的な関係性」

介護事業などを展開している「すまいるふらの」の事務長の中村則仁さんは、「普段感じている課題に対し、リコー社員からの提案で解決の糸口を見出すことができた」と感謝の意を述べました。業務に追われて日常的な課題解決が難しい現状において、外部からの新たな視点で解決策を提案されたことで、充実した時間を過ごせたと振り返ります。

また、「富良野の市民と仲間づくりをして、短期的な訪問だけでなく、長期的な関係性を続けていくことを期待しています」と話し、ワーケーションを通じた地域とのつながりが今後の活動にも生かされることを願っています。

まとめ:地域と企業が共に成長するワーケーションの可能性
今回のリコー社員による富良野でのワーケーションは、地元企業にとっても貴重な学びの機会となり、地域課題の認識と解決策への第一歩が示されました。また、リコー社員にとっても、実務を通じて地方課題に触れることで、社会貢献と自らの成長を両立する新たな研修の形が見出されました。
富良野市のように、事業課題共有型のワーケーションを通じた都市と地方の連携は、地方の人材不足や知的な刺激の機会不足といった問題に対して、具体的な解決策を生む可能性があります。今後もワーケーションの枠を超えた交流が、地方活性化の一助となることが期待されます。