2024年12月1日(日)~6日(金)、北海道・道東地域(中標津町、浜中町、根室市、別海町)にて、北海道型ワーケーションのモニターツアーが開催されました。このツアーには、首都圏の企業の代表者4名とアドバイザー2名が参加し、酪農や漁業を中心とした地域の生産現場を視察。企業間の新しいコラボレーションを促進し、地域資源を活かした新しいビジネスの可能性を探ることを目的としていました。
Day 1 – 地域理解と乗馬体験
ツアー初日には、中標津経済センターで地域の産業や酪農業の重要性について学びました。午後は「ムツ牧場」で乗馬体験を行い、北海道の広大な自然を感じながらリラックス。その後、コワーキングスペース「MILK」でリモートワークを実施。静かな環境で集中して仕事を進めました。
Day 2 – 農場視察と地域交流
午前は、中標津町は人よりも牛が多い町。日本の酪農を支えるこの地域にある「希望農場」は、世界最先端「ラウンド式搾乳機」を導入し、先進的な取り組みを行っています。
代表の佐々木大輔様より施設に最新機器を導入するまでの動きや、今後の酪農の在り方についてお話しをいただき、参加した全員が酪農のイメージが一新し、新たな可能性の機会を得ることが出来る時間となりました。その後、知床半島と根室半島の中間に位置し、オホーツク海に腕を伸ばすように広がる「野付半島」へ。道中には鹿や白鳥の姿を垣間見ることができ、都会の喧騒を忘れ、時間を忘れるひと時を過ごしました。
ランチは中標津町内にある知床ジンギスカン「そら」。来店時にサービスで提供される中標津町の牛乳で乾杯!午後は、再びコワーキング「MILK」で快適に仕事をし過ごしました。
Day 3 – 漁業収穫体験と日本最東端の根室市へ
三日間滞在した中標津町とはお別れをし、ルパン三世の作者「モンキーパンチ」氏の出身地として有名でもある浜中町へ。午前は、この時期収穫ピークの養殖うに漁へ参加してきました。浜中町は、この日が初雪。丸幸さいとう水産の斉藤様と参加者で琵琶瀬漁港を出発し、約15分後、養殖場に到着。収穫までの養殖期間や育成方法についてレクチャーを受け、
その場で新鮮なうにを食しました。都内で食べれば一貫数千円もするとの話を聞き、美味しさも倍増。そして、漁師の皆様の大変さや、有難さを感じる機会となりました。
午後は、根室市内にあるイベントスペース「SHIP」。この施設はねむろの持続可能なまちづくりを目的に掲げ、ワーケーションやデュアルライフ、リモートワークや複業・副業を実現するのに最適な環境を備えており、参加者は各自の業務に取り組みました。
Day 4 – 北方四島センターとワーク
午前中は、北方四島交流センター「二・ホ・ロ」で北方四島の歴史や抱えている課題などの話を伺い、今まで遠く感じていた北方四島のことを、より身近に感じる機会となりました。
お昼は、根室のご当地グルメ「エスカロップ」を食べに喫茶「薔薇」へ。この料理は、漁師が早く食べられて、ある程度ボリュームのあるメニューとして作られた水産都市根室ならではの独創的なメニューです。しっかり、お腹を満たし午後は、各自リモートワークを行いました。
Day 5 – 日本最東端の納沙布岬と意見交換会
朝5時に起床し、北海道の最東端の納沙布岬へ。ここは「日の出が一番早い」ことでも有名で、毎年元旦には日本一早い初日の出を見ようと、全国各地より沢山の観光客が訪れます。
この日は、雲が多く綺麗な初日の出を拝むことはできませんでしたが、北方四島交流センターで学んだことを振り返りながら、目の前に広がるオホーツク海を眺めていました。
二日間滞在した根室とはお別れし、別海町へ。ここでは、この5日間滞在してみた感想や、
各町における課題点など意見交換を行う場として開催しました。冒頭では、今回参加したアドバイザー二名それぞれより、北海道ワーケーションのさらなる可能性や、その実現に向けた課題の提起をいただきました。参加者からは、今回のワーケーションツアーの行程内容やスケジュールに関してご意見をいただき、有意義な時間を過ごすことができました。
意見交換会を通じて得られた意見と今後の改善点
今回のモニターツアーを通じ、参加者から多くのフィードバックを得られました。個々のコンテンツに関する意見のほか、各施設のwi-Fi速度の重要性とともに、機密情報を踏まえたMTGなどもあることから「個別ルーム」の重要性が確認されました。また今回の行程は、ワーク時間が午後に集中してしまっていたため、午前中がワーク、午後から観光コンテンツがあるなどの時間配分、OFF日をつくるなど課題を見られました。今後のプラン強化に向けた貴重な示唆を得ることができました。
アドバイザーからのご意見(一部抜粋)
遠藤 正 氏:地方創生専門家
1967年札幌市生まれ
元北海道大学観光学高等研究センター客員教授
専門分野
スポーツツーリズム、地域観光・ビジネス論
関連する実績
支笏洞爺国立公園におけるワーケーションの実証事業などに専門家として参画。
モニターツアーの企画への助言や満足度調査などを分析し、改善点の抽出、助言
等を行なった。
また、旭川では地域DMOに専門家として参加し、特にインバウンドスキーヤーの
受け入れについてアドバイスや調査などを行なった。
さらに、スタートアップのメンターも行なっており、ディープテック分野からコミュニティビジネス分野まで多方面の相談に応じている。
【今回のツアーについて】
地域のワーケーション施設は設備が充実しており、快適に利用できる環境が整っておりました。
また、今回のプログラムには農業、漁業、観光といった道東ならではの特色が盛り込まれており、大変貴重な経験を得ることができました。
今後、こうした素晴らしい地域資源を磨き上げ、広く周知していくかが重要と考えます。特に、参加者に向けて地域のワーケーションにおける「テーマ」や「得られる体験価値」を明確に設定することで、
より魅力的で参加しやすいプログラムの実現が期待できるのではないでしょうか。
さらに、地域外からの参加者を積極的に受け入れるためには、地域の関係者間での連携が不可欠であることを改めて感じました。
今後とも、こうした取り組みが一層発展していくことを期待しております。